□自家用有償運送の運転者に対する講習について
認定講習実施団体が増えるにつれて、講習会の選択・内容の是非について事務局にお問い合せをいただくようになりましたので、選択のポイントをご紹介します。
認定を受けた団体といっても、実施の際には必ずしも認定基準を守っているとは限らないようです
(認定基準違反になると考えられます)。受講者には責任は無いと考えますが、不適切な講習を受講した場合、後で修了資格が取消になることも考えられますので、講習会を選択される際にはご注意ください。
1.認定基準が守られているか
1)「福祉自動車の運転方法等に関する演習」において、受講生による福祉車両の運転や車いす利用者体験を行っているか。演習は一人当たり20分です。
一部認定団体で、受講者による福祉車両の運転演習ではなく、講師の運転による体験同乗という方法を取っているところがあるようですが、国土交通省では『規定の一人20分間全部を運転にあてることは求めていないが、受講者に運転実技をまるでさせないというのは、基準に反する』という説明をしています。
2)セダン等運転者講習の「福祉自動車以外の自動車を使用して行う福祉有償運送における利用者理解及び乗降介助等の対応に関する講義及び演習」において、車両等を使用しての乗降介助の演習を行っているか。演習は一人当たり20分です。
3)「福祉有償運送運転者代替講習」において、運転方法や介助方法に関する事故事例やヒヤリハット事例についてのグループ(班別)討議を行っているか。講師講義とグループ討議で150分です。
4)福祉有償運送関係での講義項目の混同(同時受講)をしていないか。一部認定団体で、福祉有償運送運転者講習、福祉有償運送運転者代替講習、セダン等運転者講習(代替講習を含む)の各講習内容について、同一の内容として同時受講の様な実施方法を取っているところがあるようです。国土交通省では『それぞれの講義内容、必要時間については基本的に異なっており、同一のものとしての受講は原則としてありえない』という説明をしております。
5)通信講座で講義部分を対応していないか。一部認定団体で、通信講座を併用した認定講習の実施について案内をしているところがあります。国土交通省では、『通信講座を認めた事実はない』という説明をしています。また講習認定要領での規定は「講義」であり、通信講座がこれに該当するかは疑問であるという意見もいただいています。
2.事前に講習内容について公表・問い合せに応じているか
講習の標準日程については、国土交通省に提出していますので、問い合せにも応じられなければなりません。
3.福祉車両の運転実技の講師は、移送サービスの現場での経験があるか
認定基準では、講師の資格は設けられていません。しかし福祉車両の運転は一般の車両の運転とは違うことは周知の通りです。また運転以外にも利用者への配慮なども求められますので、このような点を指導できるかが重要です。
4.講習内容に「移送サービスについて(概論)」を任意で入れているか
認定基準には入っていませんが、市民活動で行っている移送サービスの運転協力者を対象としている講習会では、移送サービスの目的や理念を学習することは重要です。
5.関係法令をちゃんと説明できているか(講習実施団体として理解しているか)
1)みなし登録団体の猶予期間を一律に2007年9月末と説明していないか。
すでに連絡会ニュースでも何回もお知らせしていますが、みなし登録団体(旧第80条許可団体)の猶予期間(運転協力者が認定講習(代替講習)の受講を猶予されるなど、第79条登録における条件が猶予される期間)は、2007年9月末または旧第80条許可更新期日のどちらか遅い日までとなっています。
「運転協力者は一律2007年9月末までに認定講習(代替講習)を受けなければいけない」などと、ことさら受講をあおる様な説明をしている場合は、法律をきちんと理解しているとは言い難いです。