移送サービスに関するわたしたちのアピール

 私たちは、車いすを利用している人や歩行困難な障害者・高齢者が車いすのままで乗ることができるリフト付き福祉車両等を運行している「移送サービス」実施団体とその関係者です。
 私たちは、地域福祉サービスのひとつとして、この「移送サービス」をボランティア活動や非営利事業として実施しています。しかし運輸省や厚生省の見解では私たちが実施している移送サービスは公的には認められていません。
 現在、行政施策によって、タクシー会社による福祉タクシーの運行をはじめ、鉄道やバス等の設備改善も徐々に図られています。しかし障害者の社会参加への促進や社会の高齢化に対応することができず、「移送サービス」に対する需要は年々増加し続けています。
 私たちは、障害者や高齢者が自由に移動して生活を豊かにする、そんな社会を実現するために、次のことを推進し、要望します。

1.「移送サービス」の社会的・公的な認知の獲得

 営利を目的としない地域福祉サービスとして「移送サービス」が認知されるように、道路運送法の改正を求めます。又、社会福祉事業法や介護保険法などの関連法においても独立した事業として認定するよう法的位置づけを求めます。

2.「移送サービス」の広域化とネットワークの確立

 「移送サービス」は交通手段として、ひとつの行政区域にとらわれるものではなく、広域的な事業として認知されなければなりません。そこで近隣区域の連携をはじめ市区町村、都道府県を越える相互乗り入れ・遠距離移動にも対応するために全国規模のネットワークの確立を目指します。

3.「移送サービス」実施団体の基盤強化

 「移送サービス」実施団体は、ボランティア団体等が多く、そのため財政運営基盤が弱い現状にあります。そのために国・都・市区町村の財政的支援強化を要望します。又非営利事業団体として認知されるようにNPO法等の環境整備を要望します。

4. 公共交通機関の改善

 障害者や高齢者の移動の問題は「移送サービス」だけで解決する問題ではありません。鉄道駅舎のエレベーター設置や路線バスのノンステップ化等により、移送サービスと連携した連続的な移動が可能となるように、公共交通機関の改善を要望します。また車いすのまま乗車できる一般タクシーの普及や、介護・介助する者がいなくても移動を可能とするための制度や手段の整備を併せて求めます。

5. 医療・保険機関における専門の送迎手段の構築

 私たちの「移送サービス」は本来、障害者や高齢者の社会参加を目的としているにもかかわらず、現在は通院やリハビリ、転院等の医療機関に関わるニーズが大半を占めています。その中には生命の危険に関わるものも多くあり、ボランティア団体等として手にあまる事例も存在します。これら医療機関への送迎については、行政や医療機関が公的に保障することを要望します。


 以上を私たち「移送サービス」実施団体の今後の活動目標とし、かつ関係各機関への要望とすることを総意としてアピールします。

1998年2月14日
第10回移送サービス研究協議会参加者一同


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