第11回移送サービス研究協議会

第8分科会「移送サービスとはなにか」

1.日 時 1999年 3月 6日  13:00〜14:45

2.会 場 オリンピック青少年センター国際交流館2Fミーティングルーム
3.参加者 民間団体          16名
      社協・ボランティアセンター 12名
      行政             4名
      タクシー会社         2名
      個人参加          11名

  コメンテーター  阿部 司  国分寺市ハンディキャブ運営委員会
                                委員長
  コーディネーター 鬼塚 正徳 ハンディキャブを走らせる会
           碓井 英一 世田谷ミニキャブ区民の会 運営委員長
4.内容
 4.1 ガイドラインの提案の趣旨と経過(阿部)

 東京ハンディキャブ連絡会として、運輸省、厚生省との話し合い(円卓会議等)を持ったことがあるが我々が行っている「移送サービス」の重要性はほとんど認識されていない。運輸省は当面「移送サービス」を法律的に認知するつもりはない。運輸省が違法に近いが見逃しているという状態はよくない。
今の段階で行政に「移送サービス」を本格的にやるきはない。移送サービスが行政に認識されるには5,10年はかかると考えられる。それならば、我々から法律を提案したらどうか、議員立法で進めることを考えている。
 「移送サービス」の法律化を検討する上ではタクシーと民間移送サービスとどう違うのかを、説明する必要がある。白タクとはちがうというポイントを説明する必要がある。こうゆう条件があれば、というポイントを東京ハンディキャブ連絡会の中で昨年から、数ヵ月間話合ってきたものを、今日、皆さんに紹介して、ご意見を伺いたいと考える。

 4.2 ガイドラインの意味(碓井)

 移送サービスを利用する側から説明したい。移送サービスというシステムがなぜ必要かということの十分な認識が必要と思う。
 30年前では、車いすの人が外に出ることはまれであった。やっと昭和34、5年から、少しずつ、それでも近所はよいのですが、遠くは公共交通を利用しなくては行けなかったため、あきらめていた。昭和50年から「新宿福祉の家」の矢田茂さんがハンディキャブを開発し、始めて車でいろんなところに出かけられることが実感できるようになった。
 現状では、車いすのメンバーは誰かに連れていって貰うことを前提に、外出するしかないが、そうではなくって、あたりまえに自分の意志で外出することができる、ハンディキャブのような車をあたりまえに使えないかということです。
 今日午前中に海外の事例が説明されましたが、「モビィリティ・移動の権利」というのは耳なれないかもしれないが今後必要な概念です。

 4.3 モビィリティの補足(阿部)

 普通の人は、移動にまず歩く、そして電車、雨が降るときはタクシー、でもよほどの大金もちでないと、いつもいつもタクシーは使えない。一般の人がバスや電車をつかえるように、移動困難者の移動が保障されなくてはならない。

 4.4 ガイドライン(非営利について)
民間の非営利団体が移送サービスを行っているが、「利益の配当をしないこと」「非営利」とはどうゆうものか?
NPO法案にかいてある定義が準用されると考えるのだが。
非営利とは単に、営利を目的としないということ。それならば「非営利団体」ではなく「営利を目的としない団体」のほうが適切ではないか。

 4.5 ガイドライン(対象者について)
障害者、や高齢者が対象とすれば、病人はどうなるのか。
一般のバスや電車を利用できない人を対象としているというのはおかしい。
「利用出来ない人」ではなく、「利用しにくい人」となるのかもしれない。
法律の細則になったばあいはもっと厳密な定義が必要になる。
諸外国ではもっと広い範囲の移動困難者と定義されている。

 4.6 ガイドライン(登録性について)
会に入っているかいないかではなく、移動が権利であれば公的に保証されなかればならないのではないか。
法律でみとめられるためにはタクシーとの違いを明確にする必要がある。誰でも使えるということになれば、タクシーと同じになってしまう。

 4.7 小平市の例

 小平市はタクシー会社に委託して、700万円/台・年×3台=2,100円をかけている。ところが、利用の条件が厳しすぎて、利用出来ない人が民間運行団体にニーズを持ってくる。たとえば、利用目的で人工透析が70%である。役所が要望に応じられるようになれば、役所の規制を超えるために縛られるという危惧がある。

 4.8 タクシーと移送サービス
タクシー免許が緩和されて、20年前から福祉移送サービスが増えた。
現状では、介助を前提として、移送サービスを規定する訳にもいかない。
運輸省はタクシー免許の規制緩和を進めている。タクシーにいろんなことをやらせることが念頭にあり、「移送サービス」は審議会の議題にもなっていない。
金沢方式(行政が旅客運送事業を申請する)は法人格をもっていないと委託はうけられない。
タクシー料金と同じでやってもペイしない。運転者の費用と利用者の費用のアンマッチはどうするのか。
生活を保証ではできない。行政の補助、運転者のコストを下げる。STSはバスや電車よりコストがかかる。行政が費用負担すべきではないか。バスと電車並みを前提に移送サービスの料金を縛っていてはいけない。

 4.9 ガイドラインに対する懸念
ガイドラインを作っても、それを盾に行政から規制されたらどうなるのか。
新しく法律を作るより、規制緩和の方法がある。

 4.10 参加されたタクシー会社の方の話
タクシー会社も規制が多くある。
タクシー業界も現状厳しい状況にあるが、逆に台数の増車があって、苦しい。
福祉タクシーは一日当り平均4件程度をこなしている。
移動困難者のニーズをすべて引き受けるのは無理がある。
お客さんに障害者がいることは皆承知しているが、それに関する研修はほとんど無い会社が多い。
タクシー関係の組合の春闘関係の資料には公共交通機関を民間が圧迫しているとのニアンスのものがあった。
タクシー業界は現在これからの展望が持てていない。
タクシー業界と民間団体の接点が見出せないかと思っている。

 5.まとめ

 参加者がガイドラインの必要性を十分認識していたとは思えない。そして、この分科会の参加者が「移動の保障」になぜ「ガイドライン」が必要なのかを十分認識してくれたかも確信し難い。
 一般の方々にいたっては、「移送サービスの現状」から、まず理解して貰うために、時間と十分な説明が必要。
 企画者としては、説明するポイントが見えてきた。
@公共交通とドアツードアサービスの役割分担
Aコスト負担(タクシーとの違い)
B行政の対応と法律化の必要性

 ガイドラインを世に問うためには、運行団体以外の方々の意見も十分に聞いて、分かり易い説明を用意しておく必要がある。

行政がいかに移送の問題にかかわってくることを促せるかが重要。


当議事録は、東京ハンディキャブ連絡会事務局でまとめたものであり、編集責任は東京ハンディキャブ連絡会にあります。

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