住民参加型非営利移送サービスのガイドライン策定について

1998年12月10日

 東京ハンディキャブ連絡会では、道路運送法80条の改正を視野に入れて、昨年、今年と運輸省・厚生省との円卓会議を開き、また運輸関係の国会議員とも懇談の機会を持ってきました。その中で、ただ単に法律の改正を訴えるだけではなく、具体的な改正の内容をこちらから提案した方が良いということで議論がまとまり、運営会議や円卓会議対応ワーキンググループで議論を重ねており、また今後は、円卓会議対応ワーキンググループを改称して「ガイドラインワーキンググループ」として更に議論を詰めていく予定です。

 そこで我々は「住民参加型の非営利団体が行う移送サービス事業という一定の枠組みを設け、それに合致する事業についてはタクシー免許とは別の運送事業の免許(許可)を与える」という法案を提案してはどうかと考えました。そこで、その枠組みの案として、以下のガイドラインをまとめてみました。 つまり以下の条件をクリアする団体については、たとえば「福祉運送事業(仮称)」として認定し、事業免許(許可)を与えるようにするというわけです。

1. 非営利団体であること(NPO法の定義を準用します)。
2. 団体の役員のうち、50%以上は移動制約者、またはその家族が占めること。
3. 会計および事業報告を公開し、第三者による監査を受けていること。
4. 移動制約者(障害者、高齢者、その他)を対象とするサービスであること。
5. 会員制であること(会員でなければサービスを利用できない)。
6. 車いすのまま利用できるリフト等が付いた福祉車両(身体障害者移送車両)が、全保有車両のうち50%以上を占めること。
7. 利用者が支払う利用料は、電車やバスと同程度とし、タクシー料金を超えないこと。
8. ドア・ツー・ドアであること。
9. 運転者は一定の運転講習を受けた者に限られること。
10. 一定の講習を受けたコーディネーターを置くこと。
※コーディネーターは、利用資格の審査や、車両の運行管理の行う。
11. 一定基準以上の保険に加入すること。
12. 認定委員会(仮称)より、「福祉運送事業者(仮称)」として認定を受けること。
※認定委員会とは、移送サービスを行っている団体が1〜11の条件をクリアしているかどうかを認定する委員会で、各都道府県に一つ置き、行政、利用者、移送サービス団体の3者(あるいはタクシー業者も含めた4者)の代表者で構成するものとします。

 以上のガイドライン案について意見をおきかせください。連絡会に加盟しているすべての団体をカバーしつつ、いわゆる「福祉に名を借りた白タク営業」の参入を阻止する条件を考えたつもりです(運輸省や国会議員が一番心配するのはこの点なので)。みなさんの意見をまとめた上で、ガイドラインの詳細を考え、議案として運輸政策審議会等の場で取り上げてもらう予定です。

 運輸省では、道路運送法の改正を数年後に予定していて、そのための準備作業が行われています。運送事業の規制緩和が中心のようですが、その中に、こうした新たな条文を盛り込ませることができれば、移送サービスは法律上、公認され、堂々と活動できるばかりでなく、行政の補助や民間の寄付も得られやすくなり、活動の幅は飛躍的に拡大するでしょう。移送サービスを長年、悩ませている財政難・人材難も解決に向けて大きく前進するはずです。


☆民間非営利団体による移送(移動)サービスのガイドラインについての提案
ガイドラインについての提案

☆東京ハンディキャブ連絡会ガイドラインワーキンググループ議事録及び会議録
第1回議事録 第2回議事録 第3回議事録 第4回議事録
第11回移送サービス研究協議会第8分科会「移送サービスとはなにか」