交通バリアフリー法に関する宣言 |
移動は、私たちひとりひとりが社会生活を営む上で欠かせない行為です。しかし、公共交通機関が利用できないために移動が思うにまかせない、いわゆる移動困難(制約)者は、大きな不便を強いられているだけでなく、生活自体が成り立たないのが現状です。
2000年11月に施行された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)は、高齢者や障害者による公共交通機関の利用を容易にすること、すなわち「移動の円滑化」を公共交通機関の責務として位置づけ、鉄道等の旅客施設の改善、バリアフリー車両の導入を義務づける他、駅やバス停周辺の広場や道路のバリアフリー化を市町村の責務とした点において、移動困難(制約)者の移動の円滑化を目指した、これまでにない画期的な法律であると評価します。
しかし、この交通バリアフリー法について移動困難(制約)者の視点から見たとき、法の趣旨である「移動の円滑化」を推進するには未だ不充分な内容と言わざるを得ません。なぜなら、法律の対象が公共交通機関に限られており、そもそもバス停や駅に行くことが困難な移動困難(制約)者に対する移動手段の確保が法律には盛り込まれていない他、旅客施設や車両の改善義務についても限定されているからです。
交通バリアフリー法の精神を活かすためには、さらに踏み込んだ内容であることが必要です。私たち第13回移送サービス研究協議会に参加したメンバーは、バリアフリー推進に向けた社会的な基盤整備を確固とし、誰もがどのような状態にあっても、移動が円滑にできる社会を早期に実現するために、下記の点について、交通バリアフリー法およびその周辺政策に早急に盛り込まれるよう要望いたします。
1 バス停や駅まで行くのが困難な移動困難(制約)者に対する移動手段(STS=スペシャル・トランスポート・サービス)の確保における行政の責任を、法律内で明確に位置づけること
2 現在、STSを主に担っているボランティア団体やNPO(特定非営利活動法人)など市民活動団体の活動を社会的に認知し、財政面をはじめ行政からの支援が受けられるシステムづくりを行なうこと
3 鉄道等の旅客施設の改善義務を、新設のものや大規模改良の際に限定するのではなく、すべての旅客施設に拡大すること
4 旅客施設の改善計画およびバリアフリー車両の導入計画の作成をすべての交通事業者に義務づけ、一定期間内に提出させること
5 4における改善計画および導入計画、またそうした旅客施設の周辺整備を定める市町村の基本構想については、その立案・作成、実施、変更に際しては、常に当事者である移動困難(制約)者が参画しながらその意見が充分に反映される制度を整備し、実施すること
2001年2月25日
第13回移送サービス研究協議会参加者一同
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